世界大家族制とベーシックインカム(11)金は欲望の象徴

投稿:2022年07月14日

出口王仁三郎が言う「金銀為本(きんぎんいほん)」とは、経済学で言う「金本位制」同じ意味ではなく、その上位概念であるということを前回(第10回)書いた。

通貨制度としての金本位制は1816年にイギリスで始まり、1971年のニクソン・ショックで終焉を迎えている。だから、わずか155年の歴史しかない。
しかし王仁三郎は、

「古来金銀為本の財政運用を以て国家経綸の基礎となし来れり」〔「世界の経綸」第8章〕

と、「古来」から金銀為本があるように言っているので、「金銀為本」イコール「金本位制」ではない。
古来から続く「金銀を本(もと)と為(な)す」価値観が「金銀為本」であり、その頂点が「金本位制」ということなのではないかと思う。

金本位制が始まる以前から、金貨や銀貨は使われていた。
なぜ金銀が通貨として使われるようになったのか?
それは、金銀はみんな欲しがるという前提があるからだ。
果たして本当に、みんなかどうかは分からない。私は特に欲しいと思わないからだ。お金(マネー)は欲しいが、金(ゴールド)はあまり欲しいとは思わない。光り物に興味がないのだ。
しかし、小さな子供に一万円札と一円玉を見せるとキラキラ光る一円玉の方に興味を持つ。ということは光り物を欲しがるのは、人間としての一般的な特性なのかも知れない。

金銀は食べられないし、日常生活にはあまり役立たない。装飾品としての価値だ。
人民から搾取して優雅に暮らす王侯貴族たちが、キラキラ光る金銀を装飾品として欲しがるようになったのであろう。
そうすると、私のように光り物に興味のない人でも、金銀には経済的価値があると知り、装飾品としてではなく、経済的価値があるモノとして欲しがるようになる。
こうして金銀は人類共通の価値基準になった。
そして利便性を高めるために、金銀と交換できる紙幣を発行するになった。それが金本位制(や銀本位制、金銀複本位制)だ。
金銀を人類の物欲の価値基準とすることが、王仁三郎が言う「金銀為本」ということなのではないか。

金銀は物欲の象徴と言えるのでないのかと思う。
それ自体は生きるのに必要のないものだ。
ミニマリストの家には家具や生活雑貨がほとんどない。私たちの家の中にあるモノのほとんど全ては、生きるのに必要のないモノなのだ。
テレビもパソコンもスマホもエアコンも冷蔵庫も洗濯機も、無くても生きていける。洋服だって、何着かあればいいだけだ。
生きるために必要のないモノを捨てて行くと、あとにはほとんど何も残らない。
言い方を変えると「生活が豊かになる」ということは、生きるのに必要のないモノを増やして行く、ということだ。
しかしそれが人類の文明というものだ。
生きているだけでは、ただの動物だ。生きて行くのに必要のない部分をいかに拡張して行くかが、人間の文明の発達ということなのではないだろうか。

欲望の拡大が文明の発達だと言っていいだろう。
問題なのは、欲望を拡大させること自体が目的になってしまっていることだ。
欲望は文明発展の原動力なのであって、それ自体が目的ではない。

霊界物語では、欲望の象徴は、金銀ではなく、玉である。
玉を巡って争いが展開される。
しかしそれは前半だけだ。
第36巻(36はミロクと読める)を境に、第37巻以降は、神から与えられた使命が、登場人物を動かす原動力となる。

物欲とか、それを象徴する金銀、お金というものは、本来、神から与えられた使命を遂行するために必要なものだ。
お金を稼ぐことが目的なのではなく、使命を遂行するためにお金が必要なのである。
地上天国(五六七の世)を造るという人類に与えられた使命を果たすために、物欲があるのだ。
しかしその真の目的を忘れ、物欲を拡大させること自体が目的になってしまうと、霊界物語での玉争いのように、醜い争乱となってしまう。それが今日まで続く地球人類の有様だ。

☆   ☆   ☆

王仁三郎は金銀為本に代わり、土地為本(土地本位)を提唱している。
それは一体どういうものだろう?

現代社会には、「土地本位制」という言葉がある。それは、1980年代に生まれた言葉である。

コトバンクの「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典」によると「土地本位制」とは、

1980年代後半,土地含み益を担保に信用が膨張していく状況が生まれた。これを金本位制とのアナロジーとして「土地本位制」ということがある。地価高騰の中で,企業は膨大な土地の含み益を担保にして,企業設備の更新・拡充のほか不動産の購入,経営の多角化,海外の企業買収などのための資金を安く手に入れた。金融機関の側では,貸付け審査において担保としての土地の重要性が著しく高まり,土地が無ければ信用を与えないという風潮が生まれたともいわれた。ただし,これは土地の高騰に拍車を掛けた一方,貸し付けに当たっては担保としての土地ではなく,プロジェクトの性格自体を重視すべきだといった指摘もある。

日本の銀行は土地を担保にしてお金を貸すケースが多いようだ。
極端に言うと、土地が無いとお金を貸してくれない。
バブルの時は土地の値段が急騰した。たとえば1億円で買った土地があり、地価が値上がりして、評価額が3億円になったとする。すると銀行はその土地を担保に3億円貸してくれるのだ。ということは、差し引き2億円のお金が生み出されたことになる。
このように、土地を本にしてお金が生み出されて行く状況を「土地本位制」と自嘲的に呼んだようだ。

しかし王仁三郎が説く土地本位制は、それとは全く異なる。

(続く)



(このシリーズは「霊界物語スーパーメールマガジン」令和2年(2020年)8月24日号から12月28日号にかけて25回連載した文章に加筆訂正したものです)