世界大家族制とベーシックインカム(1)語られ始めたベーシックインカム

投稿:2022年07月12日

新型コロナウイルスの影響で世界各国が非常事態宣言を出したり、都市封鎖や渡航制限を行い始めたのは令和2年(2020年)の2月中旬頃からだった。
それらのニュースを聞いて私は『今回のパンデミックは、ベーシックインカムや政府紙幣を導入するきっかけになるかも知れない』と感じた。

観光業界や飲食、イベント関連は大打撃を受けた。日本だけではなく、世界中がそういう状況となった。
企業は倒産し、人々の収入は途絶え、国家の税収も大幅に減り、人類の経済は大混乱である。
それを打開する方策として、ベーシックインカムや政府紙幣が導入されることになるのではないのかと感じたのである。

するとやはりそういう動きが出て来た。

●2020/7/30 国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所 「臨時ベーシックインカムの導入で世界の最貧層を保護すれば、コロナ感染者の急増を抑えられる可能性
によると、

「ニューヨーク、2020年7月23日 - 世界の最貧層を対象に臨時ベーシックインカムを直ちに導入すれば、ほぼ30億人が自宅に留まれようになり、現状の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染者の急増を抑えられる可能性があることが、国連開発計画(UNDP)がきょう発表した報告書によりわかりました。」

「例えば、6か月間、臨時ベーシックインカムを配布するのに必要となるのは、2020年中に予測される新型コロナウイルス対策費のわずか12%です。これは、開発途上国が2020年に支払うことになっている対外債務の3分の1にすぎません。」

「アヒム・シュタイナーUNDP総裁は「前例のない時代には、前例のない社会的・経済的措置が必要です。その一つの選択肢として浮上してきたのが、世界の最貧層を対象とする臨時ベーシックインカムの導入です。ほんの数か月前には、不可能と見られていた措置かもしれません」と語っています。」

ドイツでは実験が始まった。

●2020/8/21 BUSINESS INSIDER JAPAN 「ドイツでベーシックインカム実験始まる…3年間、毎月15万円を支給。イギリスなどでも議論がスタート
によると、

「ドイツ経済研究所によるユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)研究の一環として、120人のドイツ人が3年にわたって毎月1200ユーロ(約15万円)を受け取る。」

「他の国々でも似たような議論がスタートしており、パンデミックをきっかけとしてある種のUBIをすでに導入した国もある。」

このようにベーシックインカムに関するニュースを目にすることが増えて来た。(ベーシックインカムに関する出版物はリーマンショック後とコロナ禍後に増えている→「(26)補足2」参照)

だが、あれから2年経った今(2022年7月)でもベーシックインカムを本格的に導入した国はない。財源や配り方など問題点が山積みだからだ。
しかしコロナ禍によってベーシックインカムを大っぴらに語ることが「解禁」になったような気がする。
今回の参院選(2022年7月)の選挙公報を見ると、国民民主党だけがベーシックインカムの導入を小さく公約に掲げていた。しかし他の主要政党も公約には掲げていないが、自民・公明以外はみなベーシックインカムに肯定的である。自民・公明が否定的なのは、政権を担う政党であるから実現不可能なことは言えないのである。

そもそもベーシックインカムとは何なのか?
全ての国民に無条件で、最低限の生活が出来るお金を国家が支給する仕組みである。
直訳すると「基本(basic)収入(income)」になる。
たとえば10万円とか15万円とかのお金を、毎月全国民に配るわけだ。もしそれで足りないのなら自分で働いて稼いでくれというシステムである。

まるで夢の国のおとぎ話のようだが、ヨーロッパではすでに18世紀から提唱され、議論されている。
また実験も過去に行われている。
ウィキペディア:ベーシックインカム

日本ではコロナ禍が始まったばかりの令和2年(2020年)5月に全国民に「特別定額給付金」が10万円ずつ支給されたが、ああいうことを毎月行うのがベーシックインカムである。

日本人は、そういう新しい思想、価値観が苦手な人が多いので、今はまだ受け入れることの出来ない人の方が大多数ではないだろうか。
結局、欧米で主流になってから、真似をしてやり出すことになるのだと思う。

今のところ実現不可能な理由は多数ある。
たとえば金額はいくら配ればいいのか?
仮に一人10万円配るとする。
東京だと家賃が高く、ワンルームで7万円前後が相場なので、家賃を払ったら3万円しか残らない。
しかし地方だと、ワンルームで2~3万円で借りられるので、10万円貰えれば十分生活できる。
とはいえ一人10万円だと、四人家族で40万円になり、ベーシックインカム(基本収入)としては高額すぎる。

財源も大問題だ。
特別定額給付金は、赤字国債で調達したようだが、総額で約13兆円(1億2560万人×10万円)である。
それをもし毎月配るのであれば一年で約150兆円必要だ。
国家予算(一般会計)が約100兆円なので、オーバーしてしまう。
そもそも租税収入は60兆円しかない(残りは国債など)ので、消費税(現在の税収は約20兆円)の税率をヨーロッパ並みに20%とか25%にしただけではとうてい間に合わない。

また、お金をそんなに配ったら、みんな働かなくなる、という問題もある。
もちろん私も収入を得るための労働を直ちにやめて、王仁三郎・霊界物語の宣伝活動に専念したい。

さまざまな問題があるにも関わらず、欧米諸国でベーシックインカムの導入を(コロナ以前から)検討しているのはなぜか?
それを導入しなくてはいけない社会状況が訪れるからだ。

未来が見える人には、ベーシックインカムの導入は必然と写ることだろう。
人類の進化はもう労働を必要としなくなって来ている。
産業革命は大勢の工場労働者を生み出したが、ロボット化によって必要な労働者数は減り、コンピュータの登場によってホワイトカラーの仕事も減った。そしてAI(人工知能)の登場で、弁護士のような高度な知識・技能を要する職業まで不要となってゆく。今までの「勝ち組」でさえ、あえなく「負け組」になるのだ。
ある学者は、AIの普及によって2030年までに30%の仕事が消滅し、55%の人が失業する可能性があると予測している。
Forbes Japan「「AI失業」の脅威、2030年までに全体の3割の仕事が消滅へ

失業率50%という、とんでもない時代が、もうそこまで来ているのだ。
消費税反対とか、最低賃金を値上げしろと唱える人は、全く未来が見えていない。
そんな微々たる話ではないのだ。
半分の人が、無職になってしまうのである。

では仕事が無くなることが問題なのだろうか?
答えはノーだ。
仕事が無くなることが問題なのではなく、収入が無くなることが問題なのである。

出口王仁三郎は、五六七(みろく)の世には労働時間が1時間から3時間程度になると説いている。〔出口京太郎・編著『出口王仁三郎の示した未来へ』p101〕
失業率50%、つまり半分の人が8時間働き、半分の人が無職という状態なのではなく、ワークシェアリングをすれば、全ての人が1~3時間働くだけで十分ということなのだと思う。
AIの普及は、人類社会が五六七の世に一歩近づいたということなのだ。

ベーシックインカムも政府紙幣も、私は専門外なので、それ自体については論じる気はない。
私が論じるのは、あくまでも王仁三郎との関わりにおいてだ。

王仁三郎が大正~昭和初期に提唱した世界大家族制は、経済学の用語で言うとベーシックインカムや政府紙幣のことではないのか?──ということは、もう何年も前から気づいていた。
さすが王仁三郎だ。百年も前に、21世紀の今の時代に人類が行うべきことを先取りしていたのである。
しかし王仁三郎に関する分野は多岐にわたるので、他の分野もやらねばならず、この分野はなかなか手を付けられずにいた。だが今それを出すべき時期が来たようだ。

世界大家族制は、王仁三郎が皇道経済論の中で提唱している概念だ。
皇道経済論については、おそらく次の二つの文書を読めばあらかた分かるのではないかと思う。

●霊界物語ネット:皇道維新について(『皇道維新と経綸』)

●霊界物語ネット:世界の経綸(『皇道維新と経綸』)

●霊界物語ネット:皇道経済我観(『惟神の道』)

分かる、とは言っても、理解するのは難しいであろう。
王仁三郎は政治家でも学者でもなく、宗教家である。
言っていることは、抽象的であり、精神的であり、理論的・科学的ではない。
というか、古事記の解釈や神示に基づいており、一般人に理解できるような理論ではない。
であるので、私が自分なりに解読して、現代人に分かるように説明して行きたいと思う。

(続く)



(このシリーズは「霊界物語スーパーメールマガジン」令和2年(2020年)8月24日号から12月28日号にかけて25回連載した文章に加筆訂正したものです)