三鏡解説013 人を使うこと

投稿:2020年09月10日

●水鏡「人を使うこと」
https://reikaimonogatari.net/index.php?obc=kg013

 人を使うには、使われてやればよいのである。

 古川市兵衛(ふるかわ いちべえ)氏は、職工にまで「御苦労様」と頭を下げて歩いた。今の資本家にそれだけの心掛けと好意があれば、労働争議なんか起こりはしまいものを。

 人に使われるときは、人を使う気分になればよい。上の人が働かねばならぬように、下から次へ次へと仕向けるのである。

 痒(かゆ)いところへ手が届くというのがそれだ。嬢や坊やではとうてい駄目である。

初出:『神の国』大正15年(1926年)4月号

古川市兵衛の名字は、水鏡には「古川」と書いてありますが、正しくは「古河」と書きます。
古河市兵衛(1832~1903年)は古河財閥の祖で、足尾銅山の経営者です。
第二次大戦後、財閥は解体され、今は古河グループとして存続しています。三井、三菱や住友などと較べるとあまり名を聞かないマイナーな企業グループですが、古河電工や富士通はその一員です。また、みずほ銀行は、旧・古河銀行の流れを汲みます。

財閥の総帥が工場の工員に「ご苦労様」と頭を下げて歩いたというのですから、工員にしてみれば親しみが持てることでしょう。

人を使うには、使われてやればよい。
人に使われるときは、人を使う気分になればよい。
──とは、なかなか言い得て妙な教えです。

『大本の道』に次のような王仁三郎の道歌が載っています。
https://reikaimonogatari.net/index.php?obc=B130200c15&mky=a037#a033

「苦しみてあまたの人に使はれてはじめて人を使ふ道知る」

足尾銅山は日本初の公害事件の発生地ですので、その経営者に対してはあまり良いイメージは持ちませんが、調べてみると古河市兵衛はなかなかの苦労人で、貧乏人からの成り上がりのようです。

さんざん人に使われて、人の使い方を学んだのかも知れません。


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