霊界物語には、事物の起源・由来を説明した、いわゆる縁起譚(えんぎたん)がいくつか記されています。その一つ「御巫(みかんこ)」の起源です。
御巫(みかんこ、みかんのこ)とは、古代において、神に仕えた未婚の女性のことで、現代の巫女(みこ)のことです。
第78巻第2章「波上の追懐」より
ここに湯結比女の神(ゆむすびひめのかみ)は朝夕「火の若宮」に仕えまし、主の神(すのかみ)を始め、火の神と称えまつりし朝香比女の神の生魂(いくたま)に、白湯を沸かして笹葉に浸し、左右左(さゆうさ)に打ち振り、朝々の身魂(みたま)を清め、御湯(みゆ)を御前(みまえ)に奉りて忠実に仕え給いける。これより今の世に到るまで何れの神社にも御巫(みかんのこ)なるものありて、御湯(みゆ)を沸かせ、神明に奉る事とはなりたるなり。
舞台は「紫微天界(しびてんかい)」と呼ばれる原初の宇宙で、神々がまだ言霊だった時代の話です。万里ケ島(までがしま)の田族比女の神(たからひめのかみ)に、朝香比女の神が火打ち石を贈り、火食の道が開けたので、朝香比女の神を「火の神」と奉称するようになりました。その朝香比女の神を祭る「火の若宮」に仕える湯結比女の神(ゆむすびひめのかみ)が、火で水を沸かしてお湯にして神前に供えるようになった……というところから、御巫が始まったというのです。
ちなみに「御巫(みかんこ)」という言葉の語源は霊界物語には書かれていませんが、広辞苑によると「御神子(みかみこ)」が転訛したそうです。
(ご注意:全体の一部分を抜き書きしているだけですので、前後の文脈を知りたいときは原文を直接読んで下さい。また、意味は一つだけはありません。行間を読むことで違った意味が見えて来ます。いろいろな角度から考えてみて下さい。)