「十ヶ月暦」について考察してみました。
王仁三郎はいろいろ常識外れのブッ飛んだことを言っていますが、この十ケ月暦もブッ飛んでいます。
「十ケ月暦」『玉鏡』
ここに出て来る「ゼネバ」とは国際連盟の本部が置かれていたスイスのジュネーブ(Geneva)のことです。昔は英語をそのまま日本語読みにして「ゼネバ」と呼んでいたようです。
国際連盟での改暦の議論についてはこちらを読んで下さい。改暦(ウィキペディア)
王仁三郎が提唱する、神示の「十ケ月暦」は、まとめると次のようになります。
- 1年を10ヶ月とする。
- 1ヶ月を35日として、1週7日×5週間とする。
- 36日目は週に加えず祭日とする。
- 隔月で37日目を設け、言論自由の「閑日」(かんじつ)とする。
- 4年に1回(グレゴリオ暦と同じ)閏年を設け、閏日(じゅんじつ)は年末に置く。
- 立春を元日とする。(節分が大晦日になる)
- 1月の祭日を第1祭日、2月の祭日を第2祭日…と呼ぶ。閑日も順に第1閑日、第2閑日…と呼ぶ。
イメージが湧かないかも知れませんので、実際に10ケ月暦のカレンダーを作ってみました。
今日はグ暦だと10月5日(水)ですが、この十暦だと7月26日(木)になります。
「出口王仁三郎の十ケ月暦」(オニド)
現行のグレゴリオ暦に代わって、これがミロクの世での暦になるようです。
とは言え・・・現実にはなかなか浸透しないでしょうねえ。
まず1年が10ヶ月にする、合理的な理由がありません。「十」が神を象徴するとは言っても、それは漢字を使う日本だけですから。キリスト教で十字架が数字の10を意味するのかと言ったら、そういうわけではないでしょうしね。
それに経済の上で大混乱です。家賃とか、月極めで決まっている金額はすべて変更しなくてはなりません。
グ暦と十ケ月暦との対応もたいへんです。記念日をどう動かすか? グ暦で11月生まれや12月生まれだった人はどうなる? 12月25日のクリスマスは消滅してしまうのか?? それとも十暦に対応させた9月下旬に変更するのか?
それに回転運動とか周期を持つ数は、10進数では不便です。
ちょっと話が脇にズレますが、長さとか重さを計る単位は10進数なのに、時間はなぜ12進数が使われているのでしょうか?
10進数は、両手の指が10本あるから、数を数えるのに10進数が使われるようになった・・・と容易に考えることが出来ますが、12進数が使われるようになったのは何故?
はっきりとは分かっていないようですが、まず月の満ち欠けが1年に約12回だということがあります(もう少し厳密に言えば12.3684回)。
他に、円を描いて、その円周を等分するのに、6等分するのが一番やりやすいということがあります。
地面に円を描いて日時計を作るとします。木の棒でコンパスのようなもの作れば、地面を円を描くことができますが、そのコンパスで、円周を等分して行くと、円周を6等分することが出来ます。
下の図のように、円の半径rの長さに等しい辺を持った正六角形が作れるのです。等分するのに容易なので、周期性のあるものは、6の倍数が使われるようになった、という説があります。

また、円を等分するのに、2分の1、4分の1、8分の1・・・と分割するのも比較的たやすいことです。
そのようなことから、4と6の公倍数である12(の倍数)が、時間の単位として使われるようになった、という説があります。
10ヶ月暦だと、四季がちょっと表現しずらいですよね。
同様の理由で13ヶ月暦も不便です。だから10ヶ月暦や13ヶ月暦が世間一般の理解を得ることは難しいと思います。
1年を10ヶ月にするなら、1ヶ月が37日と36日が交互に現れるという方法は、とても合理的です。
(37×5)+(36×5)=365
しかし10ヶ月にしなくてはいけない合理的・実用的な理由がない限り、世界の暦として採用される可能性はないのでは?
言い方を変えると、合理的・実用的な理由があれば、暦として採用される、ということです。
ではその理由とは、どんなことがあるでしょうか?
それはたとえば──今、月の満ち欠けの周期は約29.5日ですが、それが天変地異が起きて36.5日くらいになり、何故か地球の公転と同期して、立春が朔日になったら、「10ヶ月暦を採用してもいいかなア」と思うでのではないでしょうかねえ。
いずれにせよ、12ヶ月を10ヶ月にするには、人類社会が大混乱するので、天変地異でも起きて社会をリセットする機会でもないと、10ケ月暦の導入は難しいように思います。
あと王仁三郎は、世界の気候は平均化されると言っています。今は暑い地域と寒い地域があって、寒暖の差が激しいですが、それが平均化されて、一年中、住みやすい気候になるようです。つまり「四季」の変化が少なくなって「二季」くらいになる可能性があるわけです。「二季」なら十ケ月暦でもさほど不便ではないかも知れませんね。
ともかく十ケ月暦は従来の文化が通用しなくなります。十二支も、二十四節気も、星座の十二宮も、みんな変更です。
大立替後の暦、ということではないかと思うのですが、まだまだ探求を続けたいと思います。