一絃琴、二絃琴と弓太鼓

投稿:2017年06月20日

霊界物語に時々、一絃琴(いちげんきん)が出て来ます。たとえば、

「梅ケ香姫(うめがかひめ)の日頃奏(かな)でさせ給う一絃琴のその音色…」〔第9巻第32章「一絃琴」〕

「このとき奥の間より、嚠喨(りゅうりょう)たる一絃琴の音(ね)幽(かす)かに聞こえ、女神の歌う声…」〔第12巻第9章〕

「奥殿の高楼(たかどの)には荘厳なる一絃琴の音(ね)爽(さわや)かに天津祝詞の声清々しく響き居る…」〔第12巻第26章〕

というようなかんじです。
一絃琴とは文字通り、絃(弦)が一本だけのお琴です。現代で「琴」と言えば弦が数本~十数本ある大正琴を指しますが、それは大正時代に二絃琴をもとにしてもっと弾きやすく改良したお琴です。
大本で祭典の時に使われているのは二絃琴(八雲琴)ですが、その原型となっているのが一絃琴です。

この一絃琴の起源について王仁三郎は次のような意味のことを言っています。(意訳)

……神代(かみよ)の昔、素盞嗚尊が世界の雲霧(くもきり)を払い、八重垣(やえがき)を取り除くにはどうしたらよいか悩んでいるときに、妻の櫛稲田姫(くしなだひめ)が弓を桶にくくりつけて、それをボンボンと叩かれた。これが弓太鼓(ゆみだいこ)の始まりである。その音を聞いて素盞嗚尊は心を和めて「八雲(やくも)立つ出雲(いづも)八重垣妻(つま)ごみに八重垣作るその八重垣を」という歌(「八雲神歌」と呼ぶ)を詠まれた。この弓太鼓が後に一絃琴になり、二絃琴になり、大正琴のようなものが出来た。
(「琴の初め」『玉鏡』、「歌祭り」『明光』昭和10年12月号を参照)
http://reikaimonogatari.net/index.php?obc=kg609
http://reikaimonogatari.net/index.php?obc=B195303c332

なるほど。お琴のルーツは神代にまで溯るのですね。
櫛稲田姫(奇稲田姫)が素盞嗚尊を慰めるために弾いた弓太鼓が、そのルーツだというのです。

弓太鼓は大本の「歌祭り」という祭典で使われています。
上に書いてあったように、桶を逆様にして、その上に弓を乗せた形状をしています(本物の桶と弓を使っているのか、それとも桶や弓のようなものを使っているのかは分かりません)。二本のバチで叩くんですが、ボン、ボン、と低い音がします。

歌祭りの説明(大本本部)
http://www.oomoto.or.jp/japanese/about/gaiyou/other_matsuri.html

次のページの真ん中あたりに弓太鼓の写真があり、「日本のあちこちで弓太鼓が用いられている」と書いてあるのですが、ネットで調べても大本関係以外ではそれほど言及されてないので、おそらく神社の御神事で使われているだけなのでしょう。
http://www004.upp.so-net.ne.jp/amfujikura/page047.html

次のページには、広島の井永八幡神社に伝わる弓神楽が書かれており、そこに弓太鼓の写真が出て来ます。
http://blog.livedoor.jp/ijoyr884-yghd/archives/51629570.html
その写真
http://livedoor.blogimg.jp/ijoyr884-yghd/imgs/8/3/835afd53.jpg
弓を外して御神事を行っています。
http://livedoor.blogimg.jp/ijoyr884-yghd/imgs/7/7/7775a725.jpg

そして次のページには、その弓神楽の動画があります。
http://tmochida.jugem.jp/?eid=166

軽快にボンボコボンボコ叩いていますが、歌祭りではこんなに激しく叩きません。
それにもっと音が低音です。
たぶん、桶が大きいから低音が出るのかな?

↓これが歌祭りで使われる弓太鼓です。動画の弓太鼓と較べると、こちらの方が桶が大きいですね。(2008年、愛善苑会館で撮影)

弓太鼓

弓太鼓

この弓太鼓が、一絃琴へと発展したと王仁三郎は言うのです。
ただし一般には、一絃琴の起源は、平安時代に在原行平(ありわらのゆきひら)が須磨(すま)(神戸市)に流されていた時に、浜辺に落ちていた木片に冠の緒(お)を張って琴を作り、葦(よし)の茎を爪にして琴を弾じて心の慰めにした…と言われています。そのため「須磨琴(すまごと)」とも呼ばれています。
一絃琴(ウィキペディア)
大正琴(ウィキペディア)

そして一絃琴が二絃琴に発展したのですが、大本で使われている二絃琴は八雲琴とも呼ばれ、江戸末期の1820年頃に伊予(愛媛)の中山琴主が神示を受けて作ったものです。
二絃琴(ウィキペディア)

大本の祭典では、お琴を弾く人(伶人)はみな女ばかりですが、創始者は男なので、男が弾いてはいけないということはありません。

次の動画に八雲琴の調べが流れていますが、そのようなかんじで祭典の時に弾くのです。
https://youtu.be/_CQkiIwm5Ok

霊界物語にも、たまに二絃琴(八雲琴)が登場します。が、一絃琴の方が3倍くらい多く登場します。

なお、「絃」は一般には「弦」(一弦琴、二弦琴)と書く場合が多いようですが、霊界物語ではほとんど「絃」の字が使われています。

最後に、余談ですが、大正琴の発明者・森田伍郎の本名は「川口仁三郎」と言うそうです。
何となく「出口王仁三郎」に似ているのがおもしろいですね。(^_^;

(この文章は「霊界物語スーパーメールマガジン」2014年3月20日号及び2015年5月18日号掲載の文章に加筆訂正したものです)