霊界物語の登場人物はすぐ死のうとする

投稿:2017年05月28日

霊界物語の第1巻の途中で読むのを断念した方もいると思いますが、少なくとも第3~4巻まで読んだ方は、登場人物の自殺が多いということに気づいたかと思います。

「荒熊姫は第二の信書を見て、ただちに一室に入り短刀を抜いて自刃(じじん…刀で自殺すること)せんとする…」〔第2巻第36章〕
とか
「八島姫は(中略)ここに決心の色を浮かべてたちまち懐中より短刀を取り出し、天に向かって合掌し、吾(われ)と吾(わ)が咽喉(のど)を突かんとする…」〔第3巻第36章〕
など、自殺シーンが多いのです。

その多くは短刀(懐剣)を使っています。ノドや腹を掻き切るのです。
海や川への投身(入水)も少しあります。

自殺シーンがどれだけあるのか調べてみました。
すると。
出て来る、出て来る、わんさか出て来ました。
軽く調べただけでも、次のように41件も見つかりました。
厳密に調べたらもっと見つかると思います。

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第2巻第17章 佐賀姫 自殺(手段不明)
第2巻第32章 神山彦ら4人 短刀
第2巻第36章 荒熊姫 短刀
第2巻第37章 末世姫 懐剣
第2巻第37章 清照彦 懐剣
第2巻第37章 大虎別 懐剣
第2巻第38章 清照彦 短刀
第3巻第36章 八島姫 短刀
第3巻第47章 真心彦 短刀
第4巻第32章 大道別 海に投身
第5巻第4章 塩治姫 河に投身
第6巻第17章 野立彦命(国常立尊)夫妻 火口に投身
第7巻第14章 国彦、奇姫(高彦の父と妻) 海に投身
第9巻第19章 虎公、熊公 海に投身
第12巻第26章 竜山別 短刀
第16巻第14章 亀彦(実は白狐) 短刀
第17巻第2章 平助、お楢 短刀
第20巻第7章 お勝 懐剣
第22巻第1章 黒姫 池に入水
第22巻第3章 黒姫 懐剣
第24巻第2章 友彦 懐剣
第27巻第7章 黒姫 懐剣
第28巻第3章 日楯、月鉾 湖に投身
第28巻第15章 マリヤス姫 懐剣
第31巻第6章 紅井姫 短刀
第31巻第22章 紅井姫(実は旭日明神) 懐剣
第36巻第3章 ケールス姫(狂言自殺) 懐剣
第36巻第19章 ケールス姫 懐剣
第40巻第3章 熊彦 懐剣
第41巻第6章 ベリス姫 懐剣
第41巻第16章 ヤスダラ姫 懐剣
第51巻第12章 宮子 懐剣
第53巻第10章 ヒルナ姫 懐剣
第53巻第11章 ビクトリア王 短刀
第56巻第18章 オールスチン 懐剣
第57巻第24章 小国姫 懐剣
第58巻第15章 猩々姫 海に入水
第63巻第18章 ブラヷーダ姫 懐剣
第65巻第18章 スマナー 短刀
第67巻第9章 ダリヤ姫 短刀
第67巻第20章 左守ガンヂー 短刀
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いや~、ずいぶんいっぱい自殺シーンがありますね。

しかし。

ほとんどは、自殺未遂です。死んでいません。
死んだ人も少しいますが、たいていは生き返って(!)います。「実は死んでいませんでした~~」というオチです。
第4巻第32章の大道別は海で投身自殺しますが、後に霊魂が二つに分かれて日の出神と琴平別神となって現れます。
海や川での自殺は、この琴平別神が大きな亀に化身して救出するケースが多いです。

短刀(懐剣)での自殺は、人前で、これ見よがしとばかりに懐から短刀を出して死のうとするので、誰かが制止するのです。だから未遂で終わります。

自殺の動機ですが、現代の自殺のように、生きる気力をなくして死ぬのではありません。たいていは、気力満々です。

厚労省の統計だと、昨年(2016年)は日本全国で約2万2千人もの人が自殺をしました。
そのうち動機が判明できた約1万6千人のうち、68%の人が「健康問題」が動機です。他に多いのは借金や生活苦などお金絡みの「経済・生活問題」が22%、夫婦・親子の不和など人間関係に悩む「家庭問題」が21%となっています。(動機は一つだけでなく複数の動機が連鎖している場合が多い)
[参考]
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jisatsu//jisatsu_year.html
http://www.asahi.com/articles/ASK3Q6F36K3QUTFK01N.html

私は自殺しようと思ったことはないのでよく分かりませんが、自殺する人はおそらく、長い間ずっとえんえんと悩み続けて、生きる気力をなくし、その挙げ句に自殺するのではないかと思います。

しかし霊界物語の登場人物は、そんなに悩みません。直情的・短絡的とも言えます。思い立ったらすぐ懐から短刀を出すのです。
この短刀はふだんから持ち歩いているようで、護身用だけでなく、自殺や、時には復讐のため人を殺すときにも使われます。ちょっと危ない人たちです。現代だと、アメリカで護身用にピストルを持ち歩いているようなものかも知れません。

その動機なんですが、自分の思いが叶わなかった場合に、無念のあまり自殺、というケースが多いです。

(鬼熊別の部下・鬼熊のセリフ)『エヽこれほど申し上げても、旦那さまはお聞き下さりませぬか。最早是非には及びませぬ。誠にすまぬ事ながら、旦那さまのお痛わしい姿を見ぬ間にお暇を賜り、ここにて切腹つかまつります。左様ならば旦那様』
と涙を夕立の如くパラパラとこぼしながら、早くも懐剣を引抜き、腹十文字に掻切らむとする…〔第40巻第3章

これは主人に申し立てたことが受け入れられなかったのです。

レアなケースとしては、失策の責任を取って自殺(第4巻第32章の大道別や、第16巻第14章の亀彦)とか、人類の罪の贖いとして自殺(第6巻第17章の野立彦命夫妻)とか、神意を占うための自殺(第28巻第3章の日楯・月鉾兄弟)などがあります。しかしほとんどのケースは、何らかの無念の表明としての自殺です。

先に挙げた41件のうち6割くらいは女性ですが、女性の場合は、想いを寄せた男性に、恋愛の気持ちを断られた場合に短刀を出すケースが目立ちます。つまり「結婚してくれなきゃ死んでやるぅー」ということです。これは一種の脅迫です。そんなことされたら困ります!

(紅井姫が国依別に対し)『…妾(わらわ)も最早観念致しました。妾の恋は真剣でござります。つまり九寸五分式の猛烈な恋なれば、最早あなたに見放された上は、この世に生きて何の楽しみもございませぬ。恋の病に悩み一生苦しむよりも、いっそこの場であなたのお目の前で自害して相果てまする…』
と隠し持ったる短刀を閃かし、ガハと喉につき立てむとするにぞ、国依別は打ち驚き、直ちに飛びつき、姫の手を打ち叩きしその途端に短刀はバラリと前におちぬ。〔第31巻第6章

こんなふうに気が短いのですよ。
これが現代の自殺との大きな違いです。悩んだ末に自殺するのではなく、悩んだらすぐ、です。
「言心行(げんしんこう)の一致」(言うことと、心に思うことと、行動を一致せよという三五教の教え)とも言えますが、自殺は「大罪中の大罪」と霊界物語で教えられています。神様から預かっている肉体を、自分勝手に殺すというのは、神様への反逆となるのです。
にもかかわらず、自殺しようとする登場人物がたくさんいるのは不思議です。

これはつまり、大罪中の大罪を犯してまでも、訴えたいことがある、と言えます。
恋の悩みも、他人から見たらすごくつまらないですが、本人にしてみたら超深刻であるわけです。
死を、決意の表明として用いている、ということです。
生きる望みをなくし、生きる気力がなくなって自殺するのとは異なります。
気力満々なわけです。
前向きな死です。
自殺にポジティブもネガティブもないかも知れませんが、かなり前向きに死を選んでいます。
自分の一番大切なもの、「命」をかけて、何かをやろうとしているのです。
まさに「命がけ」です。

しかし、実際に短刀を持ち出して何かやろうとすることはおすすめ出来ません。
いくら霊界物語に書いてあるからと言って、皆さんは絶対に真似しないで下さい。