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言向和(38) 恐怖や憎悪のコントロール

Published / by 飯塚弘明
投稿:2017年08月30日

「言向け和す」が現実の社会でどのように顕れているのか、いくつか例を挙げて説明して来ました。
「言向け和す」とは「敵と友達になる」ことですが、それらの例を眺めて見ると、「敵と友達になる」ということがどういうことだか、何となくご理解できたかと思います。

とはいえ、そういうことがそう簡単に実践出来るわけではありません。
紹介して来た例は、結果的に言向け和すことが出来たのであって、どうしたらそれが出来るのか、という点ではあまり参考にはなりません。同じようなケースが自分自身に起きても、それと同じような対応が出来るかどうか分かりません。
それが簡単に出来るのなら、地上にはとっくの昔に戦争がなくなっていることでしょう。

しかし第二次大戦後は、人間のマインドに関するテクノロジーもかなり進歩しましたので、「言向け和す」に役立つ実用的な技法もかなり開発されているようです。
それをこれから紹介して行こうと思うのですが、私もまだまだ勉強不足ですので、たいしたことを紹介できるわけではありません。

「言向け和す」に役立つ情報がありましたら、ぜひ教えて下さい。よろしくお願いいたします。


憎んだら負け

世界各地でテロの嵐が続いています。
テロる理由は、たいていは何かに対する復讐ですが、そのテロがまた新たな復讐を招きます。
この復讐の連鎖を断ち切らなくては地上に平和は訪れません。

『妻失い…なぜ「テロリスト憎まない」のか?』
という記事があります。
http://www.news24.jp/articles/2016/07/06/07334587.html

2015年のフランス・パリのテロで妻を亡くしたアントワーヌ・レリスという人への取材記事です。
この人は『ぼくは君たちを憎まないことにした』という本を書いています。
http://amzn.to/2wHPztn

この記事を読むと、次のように発言していました。

「“憎しみ”という言葉を使うと、“憎しみ”がそのドアから入ってきて、人生の色をすべて白黒に染めてしまう気がしました。その危機から私は家族を守りたかったのです」

なるほど。
敵を憎んだら「負け」ということではないでしょうか。
妻を殺されただけではなく、人生すべてを犯人によって支配されてしまうことになります。
それは癪に障りますね。

真に戦わなくてはいけない相手は、「敵を憎め」という、悪魔の誘惑の声なんだと思います。

レリスさんは、

「この間、息子と涙が出るほど、笑い転げたとき、昔と同じ笑い方だなと気付きました」

と語っていますが、敵を憎んだら、一生、憎しみに支配され、もはや心の底から笑うことなど出来なくなってしまうことでしょう。

そして、

「理性で乗り越えようと努力しています」
「恐怖を受け入れ、理性と明晰さをもって、それを支配するしかない」

とも語っています。

ある意味、さすが近代的自我を作り上げたフランス人らしく、意識(自我)で無意識に潜む恐怖をコントロールして行こうとしているように感じます。

   ○   ○   ○

アンガーマネジメント

怒りの感情をコントールするトレーニング法に、「アンガーマネジメント」というものがあります。

「殴ってやりたい」と思ったら6秒待て、というのです。

企業研修にも取り入れられているので、いろいろなノウハウがあるんだと思いますが、詳しいことはこちら↓をお読み下さい。

●日本アンガーマネジメント協会
https://www.angermanagement.co.jp/

●「すぐ怒る人に教えよう!アンガーマネジメントで学ぶ怒りやイライラのコントロール」
http://nurse-riko.net/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88/

上記の日本アンガーマネジメント協会のサイトによると、アンガーマネジメントとは「1970年代にアメリカで始まったアンガー(イライラ、怒りの感情)をマネジメント(上手に付き合う)ための心理教育」です。
https://www.angermanagement.co.jp/about

イライラ・怒りの感情と上手に付き合う方法、ということで、「感情が爆発しやすい」人に向けた感情コントロール法ではないかと思います。

アメリカ人と言えば「すぐキレる」というイメージが強いですが(笑)感情がすぐ爆発して人間関係に支障を来たして困っている人が多いので、こういう方法が必要とされたのではないでしょうか。

もちろん、誰でも多かれ少なかれ、怒りを持つことは日常的にありますので、学んでおくと役に立つはずです。

(続く)


この文章は過去に次のところへ掲載した文章に加筆訂正したものです。
「言向け和すメールマガジン」2016年7月6日号 及び 2016年5月11日号