世界大家族制とベーシックインカム(10)「金銀為本」は「金本位制」の上位概念

投稿:2022年07月14日

前回(第9回)は、「金銀為本(きんぎんいほん)」という言葉は古事記の仲哀天皇の段に記されていることを紹介した。
その下りを王仁三郎は、一種の未来予言として解釈している。
簡単にまとめると──金銀本位を国家経綸の本義とし、人生の真の目的を知らず、虚栄虚偽・生存競争を人生の目的とする国柄の国が多数存在する。その国々を帰順させるのは今(昭和)である──というようなことになる。(前回参照)

どうやら王仁三郎が言う「金銀為本」とは、通貨制度としての金本位制(や銀本位制、金銀複本位制)だけを指すのではなく、もう少し広い概念のようだ。

金本位制は1816年(日本の江戸時代後期)にイギリスで始まり、日本では明治4年(1871年)に導入されている。
しかし経済規模が大きくなると、それに対応するだけの金を準備することが不可能となり、金本位制は廃れることになった。(第8回参照)

昭和4年(1929年)の世界恐慌をきっかけとして世界各国は金本位制を廃止し始め、1930年代には主な国々は管理通貨制度へ移行した。
イギリスは昭和6年(1931年)9月に、日本は同年12月に、金本位制を廃止した。(1931年12月、金輸出再禁止、日銀券兌換停止)

王仁三郎はその当時、世界で金本位制が廃止されつつあることを認識していた。
昭和6年(1931年)10月、王仁三郎は講演の中で、次のように述べている。

(略)大正六年の私の雑誌(注・『神霊界』誌)に「金銀為本の政策は天下擾乱の基なり」と書いておきました。しかるに最近世界の金融を司るもとである英国が金本位制を廃止し、米仏も早晩破れ、やがて日本もその通りやらねばならないような傾向であります。
『出口王仁三郎全集 第5巻』「九月八日の仕組」

また、昭和9年(1934年)2月の機関誌に掲載された「玉鏡」に次のような発言が載っている。

 金銀為本の政策の間違っている事を、王仁(わたし)は長年叫びつづけて来たが、何人(なんぴと)も相手にはしてくれなかった。しかし現代のようにハタと行きづまって来て、はじめて少々夢が醒めかけたようである。

金銀為本に換うる御稜威(みいづ)為本政策なるものが、古事記中巻仲哀天皇の段に詳しく示されているのだが、古事記は予言書であるから、言霊学の鍵をもってこれを読まなければ、その蘊奥(うんおう)なる神意を悟ることが出来ぬのである。
〔玉鏡「金銀為本の政策」〕

王仁三郎は大正6年(1917年)から「金銀為本」の廃止を叫び続けて来たが、このように昭和8~9年の時点で、世界各国で金本位制が廃止され管理通貨制度へ移行していることをしっかり認識しているのである。

それにもかかわらず、昭和9年~10年に発行された著書の中でも「金銀為本」の廃止を叫んでいる。それはつまり、金銀為本イコール金本位制ということではないからだろう。

また、前掲の昭和6年10月の講演録では「金銀為本」と「金本位制」という言葉を使い分けている。これはやはり金銀為本イコール金本位制ではなく、「金銀為本」は金本位制を含む上位概念として使っているようだ。

私有財産制の廃止も訴えていることを合わせて考えてみると、王仁三郎が言う「金銀為本」とは、金のみならず、モノに依存した価値観を指しているのではないかと思う。

(続く)



(このシリーズは「霊界物語スーパーメールマガジン」令和2年(2020年)8月24日号から12月28日号にかけて25回連載した文章に加筆訂正したものです)