世界を統一する「奥の大勢力」とは?

投稿:2017年06月24日

霊界物語は81巻(83冊)もあるので、第○巻に何が書いてあったと覚えるのがなかなかたいへんですが、覚えやすい巻もいくつかあって、12巻で一括りになっているのでその最初や最後の巻は比較的覚えやすいです。たとえば第12巻は天の岩戸開きで、第13巻は半ダース宣伝使、第24~25巻は竜宮島、など。

第64巻も比較的覚えやすいのではないでしょうか。6+4=10です。ニンテンドー64の64です。

第64巻はこの前書いたように上下の2冊に分かれており、エルサレムが舞台です。
これは第1~4巻で舞台となる「聖地エルサレム」とはまた別です。
そちらのエルサレムは「地の高天原」とも呼ばれ、神代の世界の首都です。現代の地理にあてはめると、トルコのエルズルムの辺りを指します。〔第37巻第1章参照。「アーメニヤの南方に当るヱルセルム」〕

第64巻の舞台となるエルサレムは、現代のイスラエル(パレスチナ)のエルサレムです。
これが書かれた大正時代はイギリスの植民地でしたが、ユダヤ人国家が誕生しているという設定になっています。イスラエルは第二次大戦後の1948年に建国されますが、王仁三郎はイスラエルの建国を予言していたと言えます。(ちなみに王仁三郎が昇天したのはその年の1月19日で、イスラエル建国は約4ヶ月後の5月14日)

この巻の主人公ブラバーサは、日の出島(日本)からエルサレムに宣教にやって来た男性で、「ルートバハー」という宗教の宣伝使をしています。ルート root という名称は大本を暗示しており、他の巻での三五教に該当します。

ウラナイ教の高姫に該当する女性もおり、ユラリ教のお寅と言います。

ブラバーサの活動を妨害するお寅一派のドタバタ劇(64巻下)や、ブラバーサに恋慕して言い寄る女性マリヤとのラブストーリー(実はマリヤは神様からブラバーサを保護する役割を与えられていた)などが繰り広げられながら、「救世主の降臨」とか「世界の統一・和平」ということをテーマに物語が展開して行きます。

よく引用されるのが、第5章「至聖団」の次の一節です。マリヤの演説の中に出て来ます。
マリヤは「アメリカンコロニー」というクリスチャンの共同体に住んでいるんですが、そこを訪れたブラバーサや、コロニーの執事スバッフォードが演説し、その後に続いてマリヤが演説します。
マリヤはキリストの再臨(五六七神政の成就)に向けてやるべきこととして、次のように演説します。

…まず第一に神の子、神の生宮(いきみや)たる吾々は、世界にあらゆる有形・無形この二つの大なる障壁を取り除かねばなりませぬ。有形的障害の最大なるものは対外的戦備≪警察的武備は別≫と国家的領土の閉鎖とであります。また無形の障壁の最大なるものとは、即ち国民及び人種間の敵愾心(てきがいしん)だと思います。また宗教団と宗教団との間の敵愾心だと思います。この世界的の有形の大障壁を除くためには、まず無形の障壁から取り除いてかからねばならないと思います。…この障壁をなす唯一の根元は自己心と自我心です…
〔第64巻上第5章「至聖団」〕
http://reikaimonogatari.net/index.php?obc=rm64a05&mka=a174-a180a189#a174

ここで、有形の障壁として軍備と国境を指摘し、それを無くすにはまず心の中の障壁から取り除く必要があると語っています。
これはあくまでもマリヤという登場人物のセリフに過ぎないのですが、特に重要視され、たびたび引用されるのは、これはまさに王仁三郎の活動そのものだったからです。

軍備の廃止というと──テロリストやならず者国家がたくさんあるのに軍備を廃止したらとんでもないことになる…と思う人もいるでしょうけど、軍備の廃止はワンワールドが前提です。
「警察的武備は別」と書いてましたが、世界政府の機関である世界警察は当然武装しているわけです。各国家の主権から交戦権を廃止して各国の軍備を廃止し、それに従わないテロリストやならず者国家は、世界警察が対応するのです。
ですから王仁三郎は武力を否定しているのではありません。その運用の方法を問題にしているのです。

警察と軍隊の違いは何でしょうか? 端的に言うと、違法行為に対して自動的に武力を発動して取り締まるのが警察です。それに対して、司令官の思惑によって恣意的に武力を発動させるのが軍隊です。
現在は、アメリカやイギリスなどが、自国の軍隊を動かして世界の紛争に対応していますが、その運用は全くフェアではありません。シリアのISILは攻撃するのに、なぜ北朝鮮は攻撃しないのでしょうか?
それは言うまでもなく、軍隊というのはその国の為政者(最高司令官)の都合によって動くからです。北朝鮮の独裁政府は存在していた方が、米英にとって都合がいいのです。アジアに軍を駐留しておくいい口実であり、それは結果的に中国に対して睨みを利かすことが出来ます。
もし世界警察が存在しているのなら、北朝鮮にガサ入れしているはずです。容疑はいろいろありますが、核開発は別としても、日本人や韓国人を多数拉致監禁している容疑だけで十分、家宅捜索令状を取ることが出来るでしょう。もし世界裁判所の令状に北朝鮮政府が従わなければ、公務執行妨害で武力を発動することになります。

このような武力は、為政者が恣意的に発動させるのではなく、法によって自動的に発動するようにしなくてはいけません。それが警察です。
その法と警察が今は存在しない、つまり世界政府が存在しないため、各国が武装するのは時代の過渡期としては止むを得ませんが、進むべき道は世界の統一です。世界政府を樹立し、各国の武装を廃止することです。

それで、王仁三郎の昇天後ですが、大本は世界連邦運動に積極的に取り組んだのです。
ところが米ソ冷戦に突入し、その運動はパッとしない状態になってしまいましたが、今、世界統一運動を再興させる時期が来ているように思います。

しかしマリヤの演説にあったように、世界の統一は、まず人々の心の中の敵愾心を取り除かねばなりません。
それで王仁三郎は「人類愛善」を旗印に世界的に活動を展開して行ったのです。それは「道義的統一」とか「精神的統一」と呼んでいます。TPPのように、形だけ先に統一させようとしても、反対派の妨害によって頓挫しかねません。

   ○   ○   ○

この第64巻で、もう一箇所、たびたび引用される箇所を紹介します。
それは第15章「大相撲」です。

ブラバーサは宿泊しているカトリックの僧院ホテル(これは現在「ノートルダムセンター」という名称の実在するホテルです)で、バハイ教の宣伝使バハーウラーと面会します。
その会話の中には、日本とアメリカとの対比や、日本の七不思議とユダヤの七不思議との対比などが出て来ます。
それもおもしろいのですが、ここで日米戦争の予言や、その後の世界が統一されるという予言もあって、この章が注目されるのです。

ブラバーサは「東西の大関が世界の大土俵上に、褌(まわし)をしめてにらみ合っている以上は、ハルマゲドンつまり世界最後戦争は免れない」(意訳)と語ります。
東西の大関とは、日本とアメリカのことです。つまり日米戦争が予言されているのです。

それを聞いたバハーウラーは「その二大勢力はどちらが天下を統一すると考えますか」と尋ねます。

するとブラバーサは
常世国(アメリカ)ではないと思います」
と答え、そして
「その二大勢力よりも、も一つ奥に大勢力が潜み、最後の世界を統一するものと神示によって確信しております」
と答えます。
http://reikaimonogatari.net/index.php?obc=rm64a15&mka=a129-a135a150-a153a165-a166#a128

この「奥の大勢力」とは何かというのが謎なのです。

単に「奥の大勢力」とだけ聞くと、フリーメーソンやらイルミナティやらの秘密結社のような勢力を思い浮かべる人もいるでしょうね。

しかしここでブラバーサは、ユダヤの七不思議と日本の七不思議が対照的なことを説明して
「これを考えてみれば、どうしても、この日の出島(日本)とパレスチナ(ユダヤ)とは、何か一つの脈絡が神界から結ばれてあるように思います」
と語るのです。

おそらく何らかの日ユ連合が、この「奥の大勢力」ではないのかと私は考えています。

日本とユダヤとの繋がりと言えば、日ユ同祖論が有名です。古代イスラエルの失われた十部族の一部が日本に渡来して、日本人の祖先の一部になっているという話です。
それは王仁三郎も肯定しており、歴史的事実なんですが、しかししょせんは古代の話です。

現代の新しい日ユの関係が、これから重要になって来ます。
ほとんど誰も注目していないと思いますが、米英が衰退して行くこれからの時代は、日本とイスラエルとの関係が重要になります。