神との出会い(2)恐山で野宿の巻

投稿:2015年03月13日

(2)恐山で野宿の巻

北海道へ行くときは青森港からフェリーに乗って下館港に上陸したんですが、帰りは函館から下北半島の大間(大間のマグロで有名です)へ上陸しました。
そこはもう恐山の麓です。恐山と言えば「イタコの口寄せ」(巫女さんが死者の霊と交信する)で有名です。まあ、そういう意味での「怖ろしい山」という程度の認識しかなかったんですが、こわいもの見たさで恐山に上がってみました。

山頂には火山のカルデラ湖の宇曽利湖(うそりこ)があり、そのそばにお寺があります。死者を供養する霊場です。極楽浜だの賽の河原だの血の池地獄だの、何だかそれっぽい名前が付けられた場所があちこちにあります。川は硫黄の色と臭いで異様でした。

もう夕方になっており、日が暮れようとしていました。今から山を下りてキャンプする場所を探していたのでは暗くなってしまいます。仕方ないのでここで野宿することにしました。
見ると何百台も駐められそうな広い駐車場があります。平日ということもあり、端の方に車が数台駐まっているだけでした。特に邪魔にはならないだろうと思い、そこにテントを張ることにしました。

あたりはもうすっかり真っ暗で、街灯がポツリポツリと見えるだけです。
私はテントの天井に懐中電灯を垂らして照明にして、酒を飲みながらウトウトと眠り始めました。少々恐いので電灯は点けたままです。
するとそのとき突然、パッと電灯が消えたのです。

私はドキッとしました。嫌な予感がしました。
しかし冷静に考えてみると──きっと電球が切れたのでしょう。私は暗闇の中、手探りで懐中電灯の電球を取り替えました。
スイッチを入れると明かりが点きました。やはり電球が切れただけです。
私はホッとして、何事もなかったように再び酒を飲み、ウトウトとし始めました。。。

そのときです。再び明かりが消えたのです!
私はハッとしました。さっき電球を取り替えたばかりなのに、また切れるなんて・・・!
しかしもう替わりの電球はありません。仕方ないので私は暗闇の中で眠ることにしました。

恐いのでまた酒を飲み、酒の勢いで寝ようとします。
するとやがて風が吹き出しました。
だんだん風が強くなります。その風でテントが煽られて、あたかもテントの外から誰か人が揺すっているような不気味な感じがするのです。
私は『恐山で野宿なんてしなけりゃよかった』と後悔しました。死者を供養する山です。ある意味で墓地の中で野宿するようなものです。少々無謀でした。
今からテントをたたんで山を下りようかとも思いましたが、もうかなり酒を飲んでしまったし、それに真っ暗な山の中を走って行くなんて、何かが出て来そうでかえって恐いです。
私は観念して残った酒を全部飲み、シュラフをかぶって寝ようとしました──。

すると、その時です。
外から何やら人の声が聞こえてくるのです!!
テントを張った時には辺りに人の気配は全くありませんでした。
私は息を止めて聞き耳を立てました。
いよいよ幽霊との御対面か、こんな時にはどういうリアクションをしたらいいのだろうかと、今までに読んだ本、マンガ、テレビドラマなどを総動員して対応方法を考えましたが、せいぜい「キャー!」とか「うわー!」という恐怖の場面しか思い出せません。

私はべつに霊の存在を信じていたわけではありませんが、やはりこういう時には恐いものです。──いや実は、霊の存在を信じている今の方が、霊は恐くないのです。それは霊は目に見えないだけで居るのが当たり前と思っているからでしょう。昔は墓場が恐かったですが、今は恐くありません。私は霊が見える人ではありませんが、地縛霊の一人や二人、そこらへんに居てもおかしくはないと思っているので、特に霊が恐いとは思いません。霊は居るのか居ないのかわからない・・・という心理状態だからこそ、不安や恐怖が増幅されるのではないかと思います。霊なんて居ないと確信している唯物論者なら、きっとこういう場面でも恐いなんて思わないことでしょう。

私は外の声に聞き耳を立てました。しかしボソボソ言っているだけで何を言っているのか分かりません。私に何をするわけでもなく、ただ外で何かボソボソ言っているだけです。
どうもおかしいと私は気がつきました。外にいる霊(?)はひょっとしたら私の存在に気がついていないのではないのか?
相手にされていないのなら、それはそれでまた寂しいことです。

私は勇気を出して、テントの出入り口のファスナーを開け、こっそり片目だけ出して外の様子をうかがいました。
するとそこで見たものは──!

何と、イタコさんが口寄せをしていたのです!
テントのすぐそば、5メートルくらい離れたところで、イタコさんが、中年夫婦を前にして、霊懸かりして何かしゃべっています。
敬虔深そうな夫婦は合掌して、それを聞いています。
驚いたことに、声の正体はイタコの口寄せだったのです。
何百台も入るこの広い駐車場の中で、何も私のテントの近くで口寄せしなくたっていいじゃないですか~~!?
まあ、勝手にテントを張っていた私が悪いんですが。。。

一件落着です。その後はホッとしてゆっくり寝られました。
帰宅後に調べてみると、私が野宿した前の日が恐山の大祭の日で、その日は全国から死者が恐山に集まる日だったようです。
ひょっとしたら帰らずに残っていた霊がイタズラして、電灯を二度までも消したのかも知れませんね。。。(^_^;

(続く)

注意・私の真似をして恐山で野宿をしないようにして下さい。

追伸
この体験で私は霊の存在を信じるようになった・・・というわけではありませんが、ひょっとして居るのかもしれない、と思うようになった体験でした。
実際に憑霊体験をするのはそれから2~3年後のことですが、その話はまた数回後に投稿します。